ないものねだいありー

気づけば中堅社会人になった、30代中盤社会人の内なる思考をこぼしていきます。読書メモ多め。グロービスMBA修了。

10/4 読書メモ:裸でも生きる2 Keep Walking 私は歩き続ける

52冊目。 

裸でも生きる2 Keep Walking私は歩き続ける (講談社+α文庫)

裸でも生きる2 Keep Walking私は歩き続ける (講談社+α文庫)

 

 

所要時間1時間ちょい。

前回の続きの本。マザーハウスを立ち上げてから、いかにして拡大し、2ヶ国目まで展開していったかというところが書かれている。

前作がどちらかというと著者の半生を綴った、山口さん本人の価値観や思考など人間性が強く出ていた本だったのに対し、今作はよりマザーハウスという企業や途上国の実態をリアルに描くことに焦点が当たっている。

とにかくネパールでの裏切りにつぐ裏切りや、だらしない(と書くと失礼なのかもしれないけど)国民性がまざまざと描かれており、この地でビジネスを行うのはとんでもなく難しく、また危険なんだろうなと思った。

その状況下で、マザーハウスがネパール産の素材を使って新たに商品を作れたのは、諦めない想いの強さの賜物だったと思うけれど、一方ではネパールでの加工には見切りをつけたり、情に流されない決断をしたりと、事業性を担保するような経営判断をすることの大事さも合わせて見て取れる。きっと、山口さん自身もこの修羅場を経験する中で、そういうことを身をもって感じながら成長したんだろう。

 

この本を読んで考えたことは、マザーハウスはソーシャルビジネスなのだろうか?というところ。

社会的インパクトという意味ではマザーハウスは微々たる影響だと思うし、直接的には営利企業でだ。大きく違うのは、根底にある哲学の強さと明確さなのかな。

まおそもそも、ソーシャルか否か、ソーシャルの定義についての議論を深めて、どこまで意味があるのか分からないけどね。見方によれば、強いポリシーを持ってる営利企業だね。

 

あとは1冊目よりもマザーハウスの人たちについて人柄が書かれており、よりリアルさを感じながら読むことができた。山口さんと、山崎さんという副社長との関係は、今の自分とリーダーの関係に似ているな…

 

2冊通じて勇気がもらえた本だった。

社内ベンチャー、想いを通せるようにがんばろう。

10/3 読書メモ:裸でも生きる〜25歳女性起業家の号泣戦記

51冊目。 

裸でも生きる ~25歳女性起業家の号泣戦記~ (講談社+α文庫)

裸でも生きる ~25歳女性起業家の号泣戦記~ (講談社+α文庫)

 

 所要時間約1時間。速読でなく読んだ。

かなり読みやすい本だったけど、それでも速読した方が読みやすいし記憶への定着も良さそうだなあ。マインドマップがないとねぇ。

 

バングラデシュをはじめ、途上国の素材を使ったカバンのブランド「マザーハウス」創設者の半生を綴った本。

その生き様はまさに壮絶そのもので、小学校のいじめられた経験に始まり、中学での非行からの柔道へ目覚め、高校で敢えて男子柔道部に所属したうえで柔道日本選手権出場、引退後は合格は不可能と言われた大学入試を経て慶大入学を果たす。

大学在学中には竹中平蔵ゼミに所属し、ワシントンで国際機関のインターンを経験、そこで違和感を感じて2週間現場であるバングラディシュを訪れて、貧国の実態を肌で実感し、その期間のうちにバングラディシュの大学院を受験、初の外国人留学生となる。

バングラディシュ在学中に、一人でできることの限界を感じた最中、ビジネスを通じて貧国に貢献することを発案、そこで考えたのが現地素材のジュークという記事を使ったデザイン性の高いバッグを作り、日本で売ること。そして23歳の時に会社を設立し、多くの出会いと裏切りを経験しながら、自ら鞄をプロデュースし、最終的にマザーハウスを、社会的意義に訴えかけることのない「商品としての質の高さ」で勝負できるファッションブランドへと育て上げる。

 

とにかく著者は、「想いオリエンテッド」で行動しまくる人のようだ。競合校と言われる埼玉栄高校に勝ちたいからと、あえて男子柔道部に入部したり、バングラディシュへの滞在期間中に思い立って大学院を受験したり、売ることを全く考えないまま生産だけして後から会社立ち上げの勉強をしたりと、はっきり言ってプロセスは無茶苦茶だ。

彼女のやり方を万事礼賛するつもりはないし、もっと効率よくやれる方法はあっただろう。結果的にマザーハウスを立ち上げ軌道に乗せられたのも、多分に運の要素があったのかもしれない・・・が、彼女のエピソードから学ぶべきことはそこではない。とにかく、自分が成し遂げたいと思うことを100%できると信じ、壁にぶつかってもあきらめることなくトライアンドエラーを繰り返すこと。そして、そのトライアンドエラーを自分に合ったプロセスで行うこと、これが本書の一番の学びだろう。

上に書いたようなプロセスは、ひとえに「彼女に最も合ったやり方だった」んだと思う。

 

想いの強さは万事に勝る・・・とまでは言わないが、それがあれば自分の身の丈をはるかに超えているようなことでも成し遂げられるのかもしれない。

そう思わせてくれた本書に感謝。自分の志を強く持つ(志は決めに行くもの、という話を先日いただいてこれまた非常にためになる考え方だった)、まずこのことに残りの期間コミットし、それを信じて自分に合ったやり方で、先の人生を歩んでいこう。

10/2 読書メモ:グラミン銀行を知っていますか

50冊目。

グラミン銀行を知っていますか―貧困女性の開発と自立支援

グラミン銀行を知っていますか―貧困女性の開発と自立支援

 

所要時間約1時間。

こちらもTFAと同様、SCVのDay1のクラスの副読本として読了。

昨日クラスを受けた直後だったので良い振り返りとなった。

 

2006年に創立者のムハマド・ユヌスと共にノーベル平和賞を受賞したことでも有名(らしい。知らなかった・・・)な、グラミン銀行について分かりやすくまとめられた書籍。

グラミン銀行とは、バングラディシュの女性の貧困を社会的課題と捉え、その解決策としてマイクロファイナンス(少額融資)を主軸においた様々な角度からの解決策を提供している、貧困層向けの銀行。

そもそもバングラディシュの農村部には、女性がお金に触れたり経済活動をしたりする文化がなく、当然資金を得る術もなく、そのため貧困から脱する手段がなく、生活の質を向上させたくてもできないという苦しい制約があり、それを救うために少額の融資を行う銀行を設立したという経緯。さらに、このような文化があるので、単に融資をするだけでなく、文字や生活の質に関する教育や、経済活動の知識、さらに融資を受ける人同士のコミュニティ形成など、金銭面以外でも自立につながるサポートを行っている。

著者の研究を土台にし(ベースは博士論文だったらしい)、現地の人への丁寧なインタビューや実績に基づき、客観的な視点で書かれており、グラミン銀行についての理解を深めることができる良書だと感じた。

 

昨日のクラスで、ソーシャルベンチャーは何を課題と捉えるのか、なぜそれは「放置してはいけない」課題なのか、という議論があった。

この課題の認識は、最終的には主観や価値観、倫理観の話になり正解はないものだと思うが、ではその主観は何なのか?というところに対して、グラミン銀行の哲学が書中に記載されており、それが自分としては非常に記憶に残るものだった。以下引用。

・クレジットは、基本的な人権である。
・人はだれでも、機会さえ与えられればより良い生活をしようとする能力と意欲を持っている。
・貧困は外から規定され、人工的・社会的に作り出されたものである。
・人々が銀行に行くのではなく、銀行のほうが人びとのもとに行く。
グラミン銀行の原則、原理は、きわめて単純で、不変であるので、私たちは組織を柔軟に運営することができる。
・貧しい人々が信用に値しないのではなく、既存の銀行が人びとに値しないのである。

クレジットは人権、貧困は外からの規定、というところが特に心に刺さる。

私は幸いなことに、貧困を感じたことはないが、それもこれも日本という社会の成熟度の高さ、および自分が生まれてきた家庭環境の良さがあってこそだということを、改めて認識させられた。

 

あとはやはり思うのが、ただの「小口融資銀行」ではなく、女性支援につながる様々な取り組みを、現地の人の声や文化、性格に基づき行っていること。

見出した大きなレバレッジポイントである「女性へのマイクロクレジット支援」を、どのように分解・具体化し、細部に神を宿すのか、そのオペレーションの緻密さも合わせて重要であることを学んだ一冊だった。

 

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にしても、ようやく年間冊数の目標半分・・・!

(記録してない本もあるので実質はもうちょい行っているけど)

速読を覚えてから確実に読むのが苦ではなくなっているので、なんとか頑張りたい。にしてもあと3か月で50冊は難しいかな・・・2日に一冊、では間に合わないもんね^^;

 

やれる範囲で、がんばろう。

9/28 読書メモ:いつか、すべての子供たちに

49冊目。これも10月期の教科書。Day1ケースとして。 

いつか、すべての子供たちに――「ティーチ・フォー・アメリカ」とそこで私が学んだこと

いつか、すべての子供たちに――「ティーチ・フォー・アメリカ」とそこで私が学んだこと

 

所要時間約3時間。

速読一周じゃ全然頭に入らなかったので、三周くらいした。

あるいは、読みながらマインドマップを書くことをしなかったのがいけないのかな?とも思いつつ。速読法についてはどこかで別途。

 

Teach For Americaという、大学生を卒業したばかりの人を、学校に教員として派遣するNPOの創業から事業拡大に至るまでを記した本。

このNPOは、教育レベルの格差が激しいアメリカにおいて、生まれた地域によって受けられる教育の水準に差がつくということに強い課題意識を抱いたウェンディ・コップ氏が、「いつか、この国のすべての子供たちに、優れた教育を受ける機会が与えられるように」というミッションを掲げて立ち上げたもの。

しかし本書に書かれているのはその理念に基づく事業の内容を紹介するものというよりは、とにかく立ち上げから拡大までの壮絶な苦労の物語と言っていいだろう。

 

コップ氏は特に、このNPOが掲げる理念を遂行するには、小さく始めるのではダメで、はじめからある程度の規模(500人のコープメンバーと250万ドルの資金)ではじめ、なおかつこれを拡大していかなければならないと考えていたという。

創業前から多くの人を抱えながら拡大をしていくその軌跡は、まさに困難の連続だったということがありありと眼前に浮かんできた。

 

書中では、氏がとにかく「資金繰り」と「マネジメント」の問題に悩まされていた様子が克明に記されている。

NPOでも、いやNPOだからこそ、これらの問題はとにかくついて回るようだ。TFAが安定的な拡大軌道に乗ってきたときに、Vision実現のために必要なことの3つのうち2つの要素として「資金調達戦略」と「有能な組織の構築」を挙げているのも、本書を読めばよく分かる。それだけ、人と金の問題に悩まされてきたということだ。

 

ただし、残る1つの大事なことはというと、やはりというかなんというか、とにかく「強いVision」の存在だという。

NPO、つまり非営利の組織においては、営利企業とは比にならないくらいこのVisionというものが大事なのだろう。なぜなら、金銭的なインセンティブが乏しいからこそ、このVisionに対する共感が、人のモチベーションの源泉になるのだから。

 

氏は、「暗黒の時期」において、Visionに基づいた行動原理の発信、コアとなる活動への集中、資金繰りのためのリストラ、組織構築と権限移譲等をしたという。拡大していく、それも急拡大を実現するためには、このようなことが不可欠だということだ。

自分は今構築しているサービスにおいて、コアへの集中ができているか?Visionに基づいて考えているか?特に前者について、人からのフィードバックを積極的に取り入れすぎているかもしれない。

人に聞くことは大事だが、そのうえでちゃんと取捨選択をする。そんな当たり前のことではあるものの、スタートアップを志す者のはしくれとして、この本を読んで反省するところはあった。これを省みつつ、少し自分たちのビジネスに生かしていかなければと感じたのであった。

 

一応マインドマップを。

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9/27 読書メモ:社会を変えたい人のためのソーシャルビジネス入門

48冊目。10月期の教科書として。

所用時間50分。

営利を得ることではなく、社会的な課題を解決することを第一目的としているビジネス=ソーシャルビジネスの、スタートアップとしての概要を全般的に書いた本。

ボランティアからNPO社会起業家、そして大手企業によるソーシャルビジネスまで全般的に言えること、なのかな。

 

第一に思ったことは、ソーシャルビジネスとはいっても、ある程度の営利を得ることが求められる事業としてある以上は、普通のビジネスと共通する部分が多いのだなと思った。

スタートアップのプロセスとして、自分の感じたことをきっかけに現場でヒアリングをし、MVPを設計したうえでテストを回していく。それを投資を重ねて徐々に広げていき、スケールアウトを目指す、というあたり、ソーシャルビジネスというよりはむしろスタートアップの解説、といった感じだった(それはそれで良い読み物になったが)

Tipsとして書かれていた、例えばインフラはオープンになっているフリーのものを使う、クラウド活用、オフィスはスタバかコワーキングスペースなど、このあたりは汎用的だよね。

 

その上で相違点というか、ソーシャルビジネスならではの特徴を挙げるとすれば、そのイメージからよりヒト・カネなどのリソースを得るのが難しそうである、というか、事業主が特にカネを得ることを後回しにしやすい、ということ。ソーシャルビジネスというその特徴ゆえに、規模拡大や利益を上げることに対しての見方が内外ともにやや厳しいのかな。

あとは、マネタイズの方法が、対価を得るだけではなく寄付や助成金などのモデルがあり、それぞれに応じた戦略があるのだということはなるほどと思った。いかにして、利用者始め世の人々の心象をよく保ったまま収益を上げるか?ということは、きっと難しいんだろうな。

 

Day1はグラミン銀行とティーチフォーアメリカのケース。具体事例をなぞりながら、概要を頭に入れていこう。

 

9/26 読書メモ:ビジネスプロデュース戦略

47冊目。

3000億円の事業を生み出す「ビジネスプロデュース」戦略

3000億円の事業を生み出す「ビジネスプロデュース」戦略

 

所要時間50分。

昨年一度読んだことがある本ではあったけど、社内ベンチャーをやっているこの期に読み返し。

 

特徴は、大企業でやるからこそのビジネスを興そう、というスタンスで、リソース・アセット・コネクション等々があることを前提に考えるもの。

3000億円の事業を起こせたら、それはインパクトが大きいよなあ。しかし本当の意味で第二の収益の柱にするためには、それくらいないとというのは、それもそうだ。

 

3000億円の事業を生み出すには、まずそれだけの風呂敷を広げ夢を語らなければいけない。

そのようなビジネスチャンスを見つけるためのキーワードが「社会的課題」であると。得てして業界間に転がっており、業界意識が強かったり官民分断の色が強い日本ではなかなかこれの解決が進まないとか。

 

大企業にいながら、そのような事業を興して成果を出すための方法論がこの本には書かれている。

色々と学び深くかつ実践できそうだが、その中でも特に重要だと思ったエッセンスを抜き出すと、

・つながりを作る。それも、力関係のある縦(親会社・子会社、グループ会社等の関係)ではなく、対等な横のつながりをつくる。大変だが、この方が確実に幅が広がる。

・連携する際は、相手企業のエルメリットを明確化する。ただ、金額規模的に対等である必要はない。

・フックと回収エンジンを分け、これを設計する。フックが撒き餌、回収エンジンが投資回収するための利益の源泉。プリンターとインク的な感じで捉えても良いかも。

・ステップは、構想→戦略→連係→ルール決め→実行

・実行段階での頓挫が多い。トップマネジメントとして、とにかくKPIをしっかり握っておく。赤字で株主から突っ込まれても耐えるように。

 

他にも要素はあったけど、大きなところはこんなところか。

ストーリーが例として描かれていて、その中に社外より社内を説得するのが難しいとかあって、あーこれはある話なんだなあとか思ったり^^;

 

特にフックと回収エンジンなど、これを生かしてブラッシュアップにつなげよう〜

9/21 読書メモ:論点思考

46冊目。

 

論点思考

論点思考

 

所要時間45分。

昨日書いた仮説思考の続編。というか、対になる一冊。

仮説思考が、どのように問題を解決するか?というものに対し、論点思考は、そもそもどの問題に手をつけるべきか?という思考。問題解決法と、問題発見法といえば整理はわかりやすい。

 

いくら問題を解くのが早くても、解いている問題そのものが悪かったらどうにもならない、とは全面的に賛同できる。

手を動かす、仮説を立てる前に、解くべき問題かどうかを測ろうというのが本書の主張。この思考は定期的に自分のネジを巻き直さないと、少しずつ緩んで行っちゃう気がするので読んでよかった。

 

ただ少し残念だったのは、どうしたら良い論点を見つけられるようになるか?というところが、やや整理しきれていない印象だった。

与件を疑う、解いたあとの効果の有無を考える、視野・視座・視点を振る、反対や両極端を考える、など、幾つかの方法(仮説思考とも通ずるような)が提示されてはいたが、つまるところ経験、常日頃から意識においておくことが大事、というところに行き着いていた感じだった。

言葉に起こすとそりゃそうなんだと思うけど、仮説思考の時ほど体系立てて整理されていなかったように読めてしまった。これを読んだだけでは難しいんだろうな、とも思う。

 

この視点の本は、イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質がいいのかもしれないな。

この流れで次読んでみようかな。