ないものねだいありー

気づけば中堅社会人になった、30代中盤社会人の内なる思考をこぼしていきます。読書メモ多め。グロービスMBA修了。

10/2 読書メモ:グラミン銀行を知っていますか

50冊目。

グラミン銀行を知っていますか―貧困女性の開発と自立支援

グラミン銀行を知っていますか―貧困女性の開発と自立支援

 

所要時間約1時間。

こちらもTFAと同様、SCVのDay1のクラスの副読本として読了。

昨日クラスを受けた直後だったので良い振り返りとなった。

 

2006年に創立者のムハマド・ユヌスと共にノーベル平和賞を受賞したことでも有名(らしい。知らなかった・・・)な、グラミン銀行について分かりやすくまとめられた書籍。

グラミン銀行とは、バングラディシュの女性の貧困を社会的課題と捉え、その解決策としてマイクロファイナンス(少額融資)を主軸においた様々な角度からの解決策を提供している、貧困層向けの銀行。

そもそもバングラディシュの農村部には、女性がお金に触れたり経済活動をしたりする文化がなく、当然資金を得る術もなく、そのため貧困から脱する手段がなく、生活の質を向上させたくてもできないという苦しい制約があり、それを救うために少額の融資を行う銀行を設立したという経緯。さらに、このような文化があるので、単に融資をするだけでなく、文字や生活の質に関する教育や、経済活動の知識、さらに融資を受ける人同士のコミュニティ形成など、金銭面以外でも自立につながるサポートを行っている。

著者の研究を土台にし(ベースは博士論文だったらしい)、現地の人への丁寧なインタビューや実績に基づき、客観的な視点で書かれており、グラミン銀行についての理解を深めることができる良書だと感じた。

 

昨日のクラスで、ソーシャルベンチャーは何を課題と捉えるのか、なぜそれは「放置してはいけない」課題なのか、という議論があった。

この課題の認識は、最終的には主観や価値観、倫理観の話になり正解はないものだと思うが、ではその主観は何なのか?というところに対して、グラミン銀行の哲学が書中に記載されており、それが自分としては非常に記憶に残るものだった。以下引用。

・クレジットは、基本的な人権である。
・人はだれでも、機会さえ与えられればより良い生活をしようとする能力と意欲を持っている。
・貧困は外から規定され、人工的・社会的に作り出されたものである。
・人々が銀行に行くのではなく、銀行のほうが人びとのもとに行く。
グラミン銀行の原則、原理は、きわめて単純で、不変であるので、私たちは組織を柔軟に運営することができる。
・貧しい人々が信用に値しないのではなく、既存の銀行が人びとに値しないのである。

クレジットは人権、貧困は外からの規定、というところが特に心に刺さる。

私は幸いなことに、貧困を感じたことはないが、それもこれも日本という社会の成熟度の高さ、および自分が生まれてきた家庭環境の良さがあってこそだということを、改めて認識させられた。

 

あとはやはり思うのが、ただの「小口融資銀行」ではなく、女性支援につながる様々な取り組みを、現地の人の声や文化、性格に基づき行っていること。

見出した大きなレバレッジポイントである「女性へのマイクロクレジット支援」を、どのように分解・具体化し、細部に神を宿すのか、そのオペレーションの緻密さも合わせて重要であることを学んだ一冊だった。

 

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にしても、ようやく年間冊数の目標半分・・・!

(記録してない本もあるので実質はもうちょい行っているけど)

速読を覚えてから確実に読むのが苦ではなくなっているので、なんとか頑張りたい。にしてもあと3か月で50冊は難しいかな・・・2日に一冊、では間に合わないもんね^^;

 

やれる範囲で、がんばろう。