49冊目。これも10月期の教科書。Day1ケースとして。
いつか、すべての子供たちに――「ティーチ・フォー・アメリカ」とそこで私が学んだこと
- 作者: ウェンディコップ,Wendy Kopp,渡邊奈々,東方雅美
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2009/04/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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所要時間約3時間。
速読一周じゃ全然頭に入らなかったので、三周くらいした。
あるいは、読みながらマインドマップを書くことをしなかったのがいけないのかな?とも思いつつ。速読法についてはどこかで別途。
Teach For Americaという、大学生を卒業したばかりの人を、学校に教員として派遣するNPOの創業から事業拡大に至るまでを記した本。
このNPOは、教育レベルの格差が激しいアメリカにおいて、生まれた地域によって受けられる教育の水準に差がつくということに強い課題意識を抱いたウェンディ・コップ氏が、「いつか、この国のすべての子供たちに、優れた教育を受ける機会が与えられるように」というミッションを掲げて立ち上げたもの。
しかし本書に書かれているのはその理念に基づく事業の内容を紹介するものというよりは、とにかく立ち上げから拡大までの壮絶な苦労の物語と言っていいだろう。
コップ氏は特に、このNPOが掲げる理念を遂行するには、小さく始めるのではダメで、はじめからある程度の規模(500人のコープメンバーと250万ドルの資金)ではじめ、なおかつこれを拡大していかなければならないと考えていたという。
創業前から多くの人を抱えながら拡大をしていくその軌跡は、まさに困難の連続だったということがありありと眼前に浮かんできた。
書中では、氏がとにかく「資金繰り」と「マネジメント」の問題に悩まされていた様子が克明に記されている。
NPOでも、いやNPOだからこそ、これらの問題はとにかくついて回るようだ。TFAが安定的な拡大軌道に乗ってきたときに、Vision実現のために必要なことの3つのうち2つの要素として「資金調達戦略」と「有能な組織の構築」を挙げているのも、本書を読めばよく分かる。それだけ、人と金の問題に悩まされてきたということだ。
ただし、残る1つの大事なことはというと、やはりというかなんというか、とにかく「強いVision」の存在だという。
NPO、つまり非営利の組織においては、営利企業とは比にならないくらいこのVisionというものが大事なのだろう。なぜなら、金銭的なインセンティブが乏しいからこそ、このVisionに対する共感が、人のモチベーションの源泉になるのだから。
氏は、「暗黒の時期」において、Visionに基づいた行動原理の発信、コアとなる活動への集中、資金繰りのためのリストラ、組織構築と権限移譲等をしたという。拡大していく、それも急拡大を実現するためには、このようなことが不可欠だということだ。
自分は今構築しているサービスにおいて、コアへの集中ができているか?Visionに基づいて考えているか?特に前者について、人からのフィードバックを積極的に取り入れすぎているかもしれない。
人に聞くことは大事だが、そのうえでちゃんと取捨選択をする。そんな当たり前のことではあるものの、スタートアップを志す者のはしくれとして、この本を読んで反省するところはあった。これを省みつつ、少し自分たちのビジネスに生かしていかなければと感じたのであった。
一応マインドマップを。