4冊目。
評価:7.5点。
「インダストリー4.0」という言葉が叫ばれ始めて既に久しいが、結局何を目指すのか?曖昧なまま空中戦が交わされている感じがする今日この頃。
そんな中で本書は、インダストリー4.0とは何か?という一般論に終始せず、日本企業の企業文化的背景をベースにし、インダストリー4.0と言われるものの本質的な発展要素はどこであり、日本企業はどのように企業活動に生かしていくべきか、という点を、できるだけ多くの実例を交えて紹介しつつ提言している一冊となっている。
蒸気機関、電気、コンピューターに次ぐ「IoT」「ネットワーキング」による産業革命と言われるインダストリー4.0。
本質は工場起点の「繋がる」「代替する」「創造する」という3つのコンセプトであり、そのベースには「IoTであらゆるものをインターネットにつなぎ、そこから詰まってくるデータを活用して新たな価値創出に挑戦」するという点がある。
データの活用、というとこれまたビッグワードだが、データを使って何をするのか?ということは、カイゼンが得意な日本企業にとっては、データを活用して「異次元の見える化」、すなわち、データを活用して今まで分からなかったこと、見えなかったことを見えるようにすれば、あとは組織が自律的に改善をしていってくれる、という考え方であった。
私は仕事柄こういった方面の、特にデータ分析を扱うことが多く、また今いる組織の中でどのような方向で価値を生み出していこうか、ということを最近考えていたところだったので、ここまで綺麗に「異次元の見える化こそ価値である!」と言い切ってくれたのは、かなりすっきりしたし気持ちよかった。
またこういった欧米発の新しい概念ほど、自国・自組織に合わせてカスタマイズしていく必要があるということも良く学んだ。
後半はやや冗長な内容(かつ、あたりまえのこと)になっていたのでそのぶん評点は差し引いているが、インダストリー4.0と言われる分野で仕事をしていこうと思う人は一読の価値がある一冊だと思った。
自分もこれをきっかけに、深めていこう。