ないものねだいありー

気づけば中堅社会人になった、30代中盤社会人の内なる思考をこぼしていきます。読書メモ多め。グロービスMBA修了。

1/6 「さあ、ひっくり返そう」西武・そごうの正月広告

転職してから意識的に広告やプロモーションの領域にアンテナを貼るようにしている。
まあそうでなくても、これは情報として入ってきたのだが、今年の正月広告でぐっときたものが、タイトルにもある西武・そごうの正月広告。数日前のブログにも貼ったかな。

www.youtube.com

内容は見ればわかるので割愛するが、シンプルかつ洗練されたメッセージと、おそらく相当磨き上げられているであろう表現方法にグッときた。
が、しかし何事にも批判はつきもので、中には否定的なコメントも見受けられたりするようだ。

一番多いのは「これをやっても売上に直結するわけではない(だから意味ない)」というコメントだ。これが短期的視点に立って製作された広告ではないと言うのは火を見るより明らかなんだけどね。
といいつつも、たしかに前職で新聞広告を正月に出していたときには、なんとなくコーポレートブランディングだよな・・・となんとなく捉えつつも、何の意味があるのか今ひとつ理解できていなかったかもな、とも思ったりしていた。

 

そんなぼんやりとしたもやりを感じていたところに、これをきれいに解説してくれている記事があった。

www.advertimes.com

 

この記事、読めばわかるが、この正月広告に対する反応をポジネガともに簡単にまとめたうえで、主にネガ要素に対しては問を立てながら丁寧に答えており、とても勉強になる記事だった。
例えば具体的なことを抜粋すると、

(ネガ主張)話題化したところで盛り上がっているのは一部の業界の人たちに限られている。だから売上に結びつかない
⇒(対する問)クリエイティブ自体が話題になり、好感を抱かれることが、企業に対してどのような効果をもたらすのだろうか。
⇒(答)単に新聞読者に対してのメッセージだけでなく、インナーのモチベーションアップに貢献するものでもある。百貨店のような接客が主のビジネスでは無視できない。

といったように。

 

上記は一例だが、この記事の中で取り上げているネガ主張がまたあるあるで、

・この広告には来店のベネフィットがないから効果がないのでは?

・面白い広告は西武・そごうのブランド資産になるのか?

・この広告はそもそも西武・そごうの広告として認識され、ブランド・エクイティとして蓄積していくのか?

など、切れよく回答するのが難しいような主張ばかりを取り上げており、かつそれに対して明快に答えている。
ちなみに筆者は、上記の3つ目の主張のみ、批判として正しい(今後検証する価値がある)といっている。逆に言えば、それ以外の主張は当たっていないと言っているに等しい。柔らかな口調ながら、バッサリいっているw

 

とまあそんなわけで、この記事を読んで感じたのは、どうしても感覚で語れる部分が大きいと思いこみがちな宣伝広告の分野だが、そうであってもロジックはきちんと組み立てることができるということ。
そのロジックはシンプルで、誰が誰に何を届けたいか、そしてそれはなぜ届けたいのか、という論理の組み立てが一貫性を持ったときに、クリエイティブの輝きが最大化する。
だから、ロジックを整理して考えるのがとても大事だし、アートの域に収まらない所以なんだろう。ともすると見失いがちになるこの考え方だが、自分はこういうロジックがないと戦えないので、毎回しっかり押さえるようにしようと思う。

 

あとこの記事でとても印象に残ったのが、「この広告が成り立つためには、このようなブランディング自体が効果的であるような、西武・そごうの会社全体に根幹にあるブランドに対する信念やポテンシャルです。それは、かつてスティーブ・ジョブズ氏が、アップルを再び革命的なブランド文化を持った企業に生まれ変わらせようとした際のような意志があるかどうかです。」というところ。
そういえば前職でも、組織改革を行って数年したときに、それまで売ったことがなかったような正月の新聞広告をうったことがあった。その時は??という感じもあったが、たしかに社内のモチベーションは上がったし、社長を始め経営陣の強い組織改革の意思を感じることができたなと思った。
インナーへのメッセージの出し方とそこに込めるべき意志。こういうことを考えるのが大事になるフェーズも、いずれやってくるかもしれない。そんなときには、この記事のことを思い出そうと思う。

 

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ちょっとここ数日頑張って書きすぎだな笑
インプットとアウトプットのバランスが学びには大事。もうちょいサクッと書く日もつくってメリハリつけよう。