ないものねだいありー

気づけば中堅社会人になった、30代中盤社会人の内なる思考をこぼしていきます。読書メモ多め。グロービスMBA修了。

2017/1/29 読書メモ:HBSが教える顧客サービス戦略

6冊目。

ハーバード・ビジネススクールが教える 顧客サービス戦略

ハーバード・ビジネススクールが教える 顧客サービス戦略

 

勉強会の課題図書として読了。勉強会自体はソーシャルベンチャーのクラスだったけれど、書籍の内容はサービスマネジメント

個人的に、サービスマネジメントは学びが浅くなってしまったので、この書籍を片手に深める勉強会はなかなか良かった。

 

本書は「卓越したサービス=設計×文化」という方程式を念頭に置いたうえで、設計についてをさらに細分化し、大きく以下のことを要点として挙げている。

・サービス内容:「すべてが最高」は無理がある

⇒顧客にとって重要度が低いサービスについては「下手」でいい。その分、顧客が重要だと感じるところに注力し、メリハリのあるサービス内容を設計せよということ。表層機能における代償作用を最大限活用せよ、と言えばよいかな。

この「顧客が重要」と思うことを的確に把握することが当然ながらこれにおける大事なポイントで、意外にそれができているつもりになっている企業が多いと警鐘を鳴らす。これを可視化する「属性マップ」は面白いツールだった。まずはレポートにも使ってみたりできるかも。

・コスト構造:誰かがコストを負担しなければならない

⇒当然のことながらサービスにはコストがかかる。調達方法は主に4つ、「料金上乗せ」「コスト↓⇒サービス↑」「サービス↑⇒コスト↓」「顧客に仕事をさせる」。このうち面白いのが「顧客に仕事をさせる」、分かりやすい例でいうとセルフレジなどだが、このときの肝は、顧客がその仕事をすることにより見合った対価が生まれるということ。仕事をしても対価が得られないなら、顧客は当然仕事をせずに従来通りのサービスを要求する。このことを理解していないと、逆にコスト上昇になり得てしまう。

・従業員のマネジメントシステム:スタッフが悪いのではない

⇒スタッフは平々凡々な人間であり、スーパーヒーローではない。だから、顧客価値の低いところを中心に仕事の複雑性を減らすことと、要求通りのパフォーマンスを発揮できるように採用、訓練、職務設計、パフォーマンス管理の4つのマネジメントシステムを、組織に合わせて組み立てることが大事としている。

HRMに近い感じだが、スーパーヒーローではない(あるいはスーパーヒーローとまで言わなくとも、自分と一緒ではない)ということは肝に命じておかないと、自分もやらかしてしまいそう。しかし、仕組みを整え運用するのは難しい・・・

・顧客のマネジメントシステム:顧客をマネジメントせよ

⇒この考え方はとても面白い。顧客はボラティリティの激しいスタッフの一員であり、それらを管理することによって結果的に良いサービスを提供することができる、という言い方をすると、ちょっと顧客志向からはずれるような感じもするが、実際に過剰なサービスを求めたり、違約金を払って開き直る顧客が出たりするのを避ける仕組みはとても重要。顧客の選別。

今日の勉強会で、ソーシャルの文脈ではこの「選別」が現状できない仕組みになっている(平等という大義に基づく法律によって)という論点が挙げられた。リソースが限られがちなソーシャルビジネスにおいては、大きな問題である。

 

これらに、企業文化を明確・伝達・一貫という3つの大事なことを守りながら行うことが挙げられていた。

 

サービスプロフィットチェーンで語られるのはES⇒CSという繋がり。

これを実現・機能させるために、具体的にどうすればよいのか?ということを考えるときの一つのフレームワークとして、上記に基づいたサービスモデルの設計をする、とつなげることができるかな。

サーマネの学びを深めるためにも、この書籍の読書会はもう一度したいと思ったのでした。