ないものねだいありー

気づけば中堅社会人になった、30代中盤社会人の内なる思考をこぼしていきます。読書メモ多め。グロービスMBA修了。

4/2 読書メモ:P&G式「勝つために戦う」戦略

23冊目。四半期目標ペースを若干下回ってしまっているので、この週末に挽回せねば。

P&G式 「勝つために戦う」戦略

P&G式 「勝つために戦う」戦略


所要時間約5時間。P&Gの「戦略の組み立てのプレーブック」。
書中では「勝つための相互補強的な一連の選択」と定義し、戦略のあるべき姿・選択肢を出すためのフレーム・合意形成しながら進めるための手法を、実例と合わせて紹介している。
より具体的には、

・戦略的カスケード…相互に整合している、戦略が答えるべき5つの問い。勝利後の姿、戦場、戦法、必要な能力、支えるシステムという要素。
・論理フロー…上記カスケードの中でも肝となる、戦場と戦術の選択肢を考えるためのツール。市場と業界のセグメンテーション、顧客像、自社の相対的なポジション、競合の状況。
リバースエンジニアリング…戦略立案を、チームとして合意形成しながら進めていくための手法。その戦略が成り立つためにはどのような条件が必要か?という問いを立て、検証していく。

これぞ典型的なポジショニングアプローチ!というような戦略の考え方。マイケル・ポーターのアドバイスを強く受けているというからそれも納得。
ただ、どこで戦うか?という問いに対して複数の選択肢を用意した後に、自社の中核能力と絡めて選択肢を絞っていくプロセスに、ポジショニングアプローチを現実に落とし込んだ時のリアルな姿を見た。ポジションこそが重要、リソースはなければ買ってこい!という、極端なアプローチと誤解していた部分は正直あったので、腹落ち。考えてみれば当たり前なんですが。

それから書中では一貫して戦略は選択である、と書かれていた。黒字事業だけれど中核能力と整合しないからという理由で売却する、というのが例で、この選択は確かに厳しそうだと感じる。
これに絡めて個人的に印象に残ったのが、あるものを定義するときに「◯◯とは何であり、また何ではないのか」というフレーズを多用していたこと。この「何ではないのか」というところまで考えることが、選択の本質をついていると感じた。なぜなら、選ぶことは捨てることであり、捨てることは否定することであるから。

その他、戦略を考えるための問いにとどまらず、具体的な使い方(チームでの合意形成の仕方)まで書かれているのは特徴的であり貴重だなと感じた。
確かにこれは、プレーブックとなりうる。

P&Gが実践してきた実例と絡めて紹介されていたため、極めて説得力がある書籍でした。
戦略を考える方法はもちろんこれが全てではないけれど、理論を学んで実践に活かしていこうと志している者にとっては、ぜひ参考にしたい一冊。