ないものねだいありー

気づけば中堅社会人になった、30代中盤社会人の内なる思考をこぼしていきます。読書メモ多め。グロービスMBA修了。

2017/1/7 読書メモ:リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間

1冊目。

リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間

リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間

 

評価:6.5点

 

昨年10月期に受講したサービス・マネジメントの復習として読了(ちなみにリッツ・カールトンのケースはレポート回。出来は・・・微妙^^;)。

リッツ・カールトンというと、著書名にもある「サービスを超える」おもてなしやその信念を言語化したクレドが着目されやすいけれど、真のすごさはその再現性(本質的にマニュアライズできないサービスなのに、世界的に展開してもどこでもホスピタリティ溢れるサービスを提供することができる、ということ)にあり、それを可能にしているのは、従業員が誇りを持ち、さらに働きやすい環境を作ることに徹していること、高いレベルでマニュアル化されたベーシックなサービス、人材のとり方・育て方にある。

これを、具体的なシーンを交えながら書かれており、見出しに端的にそれが表されている。一部を引用しよう。

 

・会社が従業員に約束してくれること

・「紳士淑女にお仕えする我々も紳士淑女です」

⇒ゴールド・スタンダード中の「従業員への約束(エンプロイー・プロミス)」について。従業員を一番大事にしており、成長を約束するという会社の宣言である。

日本の(時に歪んだ)「お客さまは神様だ」という発想とは全く異なる考え方であり、「我々も紳士淑女」という言葉はまさにそう。非常にいい言葉だと思う。

 

・PRIDE & JOY 誇りと喜びを持てば意欲が湧く

・「ファーストクラス・カード」でお互いを称えあう

⇒いかにリッツ・カールトンの従業員が、誇りを持ちながら働いているか、またそれが企業としての競争力の源泉になっているか。似たようなことを行う企業はあるのかもしれないが、上面だけ真似ても上手くいかないのは当然だ。従業員を「紳士淑女」と思っているからこそ、このような言葉が響く言葉として読み手に届くのだと思う。

 

・従業員が”一日二千ドル”の決裁権を持つ意味

⇒従業員がどれほどエンパワーメントされているか。これだけの権限移譲がされているからこそ、躊躇せず「最高のおもてなし」を行動に起こすことができるのだ。

 

・サービスは科学だ

・同じ結果を出すためにマニュアルは必要

・「サービス・クオリティ・インジケーター(SQI)」が教えること

⇒「感動」の体験は、サービスレベルのベースラインが高くあってこそであり、顧客満足を高める前提には顧客不満足を取り除く科学的なアプローチがある、ということ。自身がTQMなどに携わっているからこそ(そしてレポートで漏れていた視点だったからこそ・・・)、リッツのケースを学んだ時にも、この点が強く印象に残った。

 

・入社面接にドアマンがいる理由とは?

・技術は訓練できてもパーソナリティは教育できない

⇒これらを実現するうえで必要なのはもちろん現場の人材。そこに適合している人材を配置し続けるためには、その前提としての「採用」のプロセスの重みが非常に大きい。採用面接会場を見て応募者の半数が面接を受けずに「合わない」と判断した、というのは、アメリカならではというのもあるかもしれないが、とても効率の良い選考方法だし、現場での化学反応を支えるためにはこのような人のとり方が大事になってくるんだろう。

 

 

サービスマネジメントのコアは従業員満足度でありサービスプロフィットチェーンである、とは学んだが、頭でも理解しきれていたかは微妙だった。ので、こうやって補完することができたのは良かった。

ただ、少々原体験に偏っていた内容だったことと、個人的には従業員満足度以外の要素(サービス品質管理や採用プロセス)のあたりをもう少し厚く書いてほしかったかな。企業としてのブランド戦略の章は、あまり印象に残らない内容だった(書籍のコンセプトともややずれる気がする)。

 

サービスの現場とは程遠い現在だが、いつか必要になったときのために。