ないものねだいありー

気づけば中堅社会人になった、30代中盤社会人の内なる思考をこぼしていきます。読書メモ多め。グロービスMBA修了。

9/3 読書メモ:イノベーション・オブ・ライフ

40冊目。

イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ

イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ

  • 作者: クレイトン・M・クリステンセン,ジェームズ・アルワース,カレン・ディロン,櫻井祐子
  • 出版社/メーカー: 翔泳社
  • 発売日: 2012/12/07
  • メディア: 単行本
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所要時間、測ってないけど3時間~4時間くらいかな?

イノベーションのジレンマ」の著者、HBSクリステンセン教授の著作。その内容はただの人生哲学ではなく、理論(それも経営理論!)を通じて人生を見つめ、将来の歩む道を「予測」することから、取るべき行動への示唆を与える、というスタンスの本。

 

この本のとても良いところは、「この本に書かれている通りにすれば万事解決しますよ」という、安直な解決策を提供するようなスタンスではないところ。

教授はハナから、ここに書かれていることに真剣に取り組んで始めて、人生を良い方向に動かすことができるようになるが、それはとても大変なことであると言っている。そりゃそうだよね。

 

この本では最初に3つの問いを投げかけられる。

わたしはどうすれば次のことが確実にできるだろうか?

 ・どうすれば幸せで成功するキャリアを歩めるだろう?

 ・どうすれば伴侶や家族、親族、親しい友人たちとの関係を、ゆるぎない幸せの拠り所にできるだろう?

 ・どうすれば誠実な人生を送り、罪人にならずにいられるだろう?

 

つまり、オンとオフをそれぞれ、「長い時間軸で見た」ときに、誠実さを保ちながら充実させ続けるためには、という問いかけ。

 

普通の自己啓発本だと、この手の問いに対してまっすぐ、あるいは色々な角度から、答えを提供するのだろう。それは共感出来れば気持ちが良いが、「長期に」同じ考え方で同じ成果を得続けるのは難しいだろう。

戦略と同じで、外部環境が変わったら修正しなければいけないからだ。

 

それに対して本書の面白いところは、以下のような構成になっていることだ。

まず、一般的に適用することができる経営理論を提示し、それが該当する具体例を上げる。ここまでは普通のビジネススクール的だが、それが人生にも適用できるといい、その具体的なシーンを示す。

そして、読者に自分の人生への適用の洞察を促す。

 

クリステンセン氏は「優れた理論には気が変わるということがない」と書中で言っている。

それは確かにその通りで、色々な理論を学ぶと全然違うシーンでも適用できそうだな、と思うことはときどきある。本書に書かれているように、経営と人生という全く違う二つのフィールドでも「気が変わることなく」適用できる理論も、多くはないかもしれないがあるというのはうなずけるし、この本に書かれているように、理論を基に人生の行動について考えをめぐらせるのは一つのやり方として大いにありだと思う。

ただ、現実にこれをしようと思うなら、ここで書かれている「理論」を、自分だけではなく共に時間を過ごす人と充分に共有してからでないと危険だろう、とも思った。この理論はある種、弱さに流される人間の行動を律するものでもあるがゆえに、十二分に理解を共有していないと、かえって反発の種になりそうだと思ったからだ。

特に2つ目の問いかけに関しては、自分ひとりの問題ではない。できるなら、家族で理論を共有したうえで、そののちどう行動に落としていくかを一緒に話し合って決める、というプロセスが、実は一番大事なのかもしれないと思った。

おそらく氏もそうしていたんだろう。なぜなら、氏が若いときはまだこの理論を考え付いていなかったからだ。

 

その他本の内容としては、意外とイノベーションのジレンマをはじめとする様々な経営理論を紹介する部分が多く、具体例も結構載っていたので、ある意味復習の一冊としては読みやすさも含めて最適だと思った。

意外と忘れていた部分もあったし。知識の定着という意味でも、またしばらく日を開けた後に読んでみても良いのかもしれない。

 

余談だけど、この本のタイトルは原題である”How will you measure your life?”のほうが好き。本の内容を良く表しているから。RentのSeasons of Loveの歌詞と似てるよね。

www.youtube.com

おそらくクリステンセン教授の著作であることをアピールしたかったこと、イノベーションという言葉で目をひきたかったこと、などのマーケティングの都合があるのかもしれないけれど。

それにしても、なんとなくしっくりこないタイトルだな、と思い続けている。あ、本の内容は本当に良かったですよ。